倉井の策略!?

なんか ちょっと おもいついたことなどを かくのです。

外来魚は「悪」なのか?-生物多様性と国民国家-


天皇陛下は11日に大津市の琵琶湖であった「第27回全国豊かな海づくり大会」の式典あいさつで、
自分が皇太子時代に米国から持ち帰った外来魚のブルーギル
琵琶湖の生態系を脅かしていることに触れ、「心を痛めています」と述べた。


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結論から言えば、外来種は決して「悪」ではない。
もちろん、生態系を一時的に乱すことになるから、こうした懸念が生じるのもよく分かるし、
陛下が憂慮されるお気持ちも充分に察せられる。

けれど、外来種による生態系の乱れは一時的なものであって、
長期的には外来種を取り込むかたちで新たな秩序が形成されるのだ。

日本の伝統的風景を思い出してみるといい。

「菜の花畑にモンシロチョウ」。これはなるほど風情がある。
ところが、モンシロチョウは他ならぬ外来種なのである。
諸説あるものの、おそらく奈良時代にダイコンの流入とともに日本へ渡来したらしい。

あるいはまた、「田んぼの畦道にウシガエル」。これもなるほど風情がある。
ところが、ウシガエルの出自はアメリカである。
こいつの餌として輸入されたアメリカザリガニも、いまでは日本の風物詩の一部となりつつある。

最後にあるいは、「弥生人と稲作」。
これは日本文化の根幹を成すが、弥生人も稲も外来種である。

外来種の危険性を訴える気持ちは分かるのだが、
それらはほとんど科学的根拠に根ざしていない感情論に過ぎない気がする。
ブルーギルを駆除!!」「ブラックバスを根絶!!」と主張する一方で、
なぜモンシロチョウは不問に付すのか。どうして弥生人は生きてて良いのか。

こうした考え方の延長上には、「ユダヤ人は外来種だからドイツから追い出せ」とか
「在日は外来種だから日本から追い出せ」といった極論が待っている。

生物多様性は、人間の理性では把握できない「複雑系」の世界である。
その混沌のるつぼのなかには、
外来種をも包括して新たな秩序をつくりだすダイナミズムが備わっている。

ブルーギルを放流してしまったのは人間の落ち度かもしれないが、
それを駆除することで秩序を回復できるという考えは軽薄である。
みんなでなかよく共存する道を、知恵をしぼって考えたほうがいい。

いったん混ぜ合わせたパン生地を、小麦粉と酵母と水と塩に分離できるのか? 
できるわけがない。