倉井の策略!?

なんか ちょっと おもいついたことなどを かくのです。

■「与える喜び―奉仕と献身の実践―」■ その2


 ■与えるよろこび 
 東京にある聖路加国際病院日野原重明先生と対談する機会があったのですが、そのとき「今日の政治の状況についてどう思うか」と質問をいただきました。そこで私は、
「“Give&Take”という言葉がありますが、現在は半ば“Take&Give”になってしまっている。さもしい時代のように思えてならない。だから、“Give&Take”にしていきたい」と答えました。すると日野原先生は、
「私は“Take&Take”の極端なものになっていると思います」と仰いまして、(会場に笑い)それからこう言われました。
「今日からあなたは、“Give&Give”――与えるよろこびに徹しなさい」
 私はそうすることを誓いました。……すると日野原先生、もう一歩踏み込みまして。(また会場に笑い)
「あなたひとりが実践してもダメだ。資生堂全員でそうしなさい」
 そう言われましたから、さっそく会社でこの話をしました。お客さんのため、社会のためにどうすればいいか。……しかしながらこれは、つねに十分とはなりえません。これは個人にしても、組織にしても、“永遠にチャレンジすべき課題”だと思っています。

 私が“与えるよろこび”をいただいたのは、作家の曽野綾子さんでした。曽野さんは、“与えるよろこび”を徹底的に実践されている人です。毎年の聖地巡礼を、身障者の方もお招きして行っています。――私も、そういう思いを持っていたい、“Give&Give”に徹していきたい、そう思い、これからも努力していきたいと思っています。支えることに徹すること。……組織のトップが示してあげれば、全体がそうなります。
 会社組織の人間は、決して会社組織の長に奉仕するのではありません。社会のために奉仕する。――これが今日重要なことなのです。

 ■おわりに 
 伝えたいことがふたつあります。
 ひとつ目は、現在、ひとりひとりの関係性が希薄になっていることについてです。――元来、日本人には家族愛、他者への愛、自然に対する愛が満ち溢れています。いま一度、コミュニティを支えるひとりひとりが関係性を認識することで、新しい時代が生まれてくるのではないでしょうか。ですから皆さんには、友人関係から、厚い、濃いものにしていただきたいと思います。
 ふたつ目は、想像力についてです。聖書にも、「よろこぶ者とともによろこび、~~」とあります。いちばん大事なことは、これ以外にありません。もう一度、日本をそのような国にしたい。フランスの思想家ルソーは、「他の人の痛みを、自分の肉体のこととして、心で感じ取ることができるのは、ただ想像力によってのみだ。」と言っていますこれは新渡戸先生の本にもあります。武士道にも通底する、大切な思想です。
特に若い人に、そういった日本をつくっていただきたい。人生における先輩として、今日はそう申し上げます。……時間を少しオーバーしてしまいましたが、私の話はこれで以上です。