ウルトラの父の「お涙頂戴」
むかしむかし、M78星雲は、ゆるぎない平和を享受していました。
「もうすぐ、平和なM78星雲にも戦いの日がやってくる。だから青年よ、身体を鍛え、そのときのために備えてくれ」
青年は、キングの啓示を信じて、町外れの荒野で特訓を始めました。
人々は、そんな青年を一笑に付しました。
「ばかだあいつ、こんな太平天国の世に、戦いの特訓? ぷふい、笑いが、とまらんぜ」
つめたい視線、笑いの中で、青年はひとり特訓をつづけました。
そんな青年を見守り続けた女性がいました。
のちに「ウルトラの母」と呼ばれるようになる彼女は、M78星雲の看護婦さんでした。
青年は愛する女性のためにも特訓をつづけ、強い戦士となりました。
そして、……
ついに時が来たのです。
怪獣たちが、M78星雲を攻めました。
人々は逃げ惑い、阿鼻驚嘆が星を覆いました。
青年は一人戦いました。特訓のかいもあり、なんとか一匹の怪獣を倒すことはできました。
しかし、怪獣はおおぜいです。
「うう、もうだめだ」
青年はついに力つき、その場に倒れてしまいました。
……と、誰かが助け起こします。
それは愛する看護婦さんでした。看護婦さんは指さします。
「あれを見て」
青年はびっくりしました。さっきまで逃げ惑っていた人々が、青年の雄姿を見て感動し、自分たちも、と戦い始めたのです。しかも、その人たちの中には、伝説のウルトラマンキングもいました。
「ああ、伝説のキングが……みんな……!」
青年は感極まりました。
かくして、M78星雲の平和は守られたのです。
人々は、この戦いから「備えあれば憂いなし」という教訓を学び、日々戦いに備えるとともに、青年を中心とする組織を結成し、宇宙の平和を守るために働くようになりました。
……むかし、こんな話を聞いたことがあるんですけど、ぼくの妄想ですかねぇ?