倉井の策略!?

なんか ちょっと おもいついたことなどを かくのです。

自分らしさって何だろう▽・ω・▽?

 ■「小説の書きかた」がブームです。■

 近ごろは「小説の書きかた」みたいな親切な本がたくさん出ていて、本屋さんに寄ったときなど、つい手にとってしまうことがあります。……中には、有名作家の作品を細かく批判しながら小説技法のイロハを解説してくれるものもあって、感心すると同時にそのパラノイアックな批評精神に微笑せずにはいられません。
 ただ、ひとつ気になるのが、大半の本で基本テーゼのように言われているこの言葉です。……


 ■「小説家にとって一番重要なのはオリジナリティです!」■

 どんな独創的な小説論であっても、たいていこのイデオロギーだけは外していない気がします。
 だけど、あんまりみんなが異句同音をrepeatするものだから、ひねくれ気味の僕なんかは正直「……ホントかな?」と首を傾げてしまいます。
 もちろん、人間にはそれぞれ「その人らしさ」があって、そうした他の誰でもない個性こそが、彼や彼女の存在価値(レーゾン・デートル)を創発している。――たしかにそれは事実だと思います。けれど、そうはいってもオリジナリティに磨きをかけるためには「他山の石」が必要で、自分らしさを絶対化しては成長は見込めない気がします。


 ■「オリジナリティが大切」はうそです。■

 僕は自分自身の「らしさ」だとか「オリジナリティ」だとかを一欠片も信用していません。歴史上の芸術家や現在第一線で活躍中の人たちと比べたら、自分なんか余りにちいさな存在にしか見えないからです。こんな矮小な「自分らしさ」など、跡形もなく粉砕してしまいたい。だから、古往今来・洋の東西を問わず、できる限りたくさんの書物に触れたいし、波長の合うアーティストには思いっきり影響を受けるようにしています。そうすることによって、今現在自分が「自分らしさ」だと規定しているラインをすっきり消去してしまいます。人間の感性は可塑的なもので、一般的に考えられているほど確固としたものではありません。他者の介入を案外容易に許してしまいます。僕は、その点をむしろ肯定的に受け止めて、「他人にあって自分にないもの」をいかんなく吸収したいと思っています。「オリジナリティが大切」というイデオロギーは、少なくとも僕には不毛です。